ホームページ制作
2025.12.15

WEB Marketing Journal
ホームページ制作
2025.12.15
Webサイトのワイヤーフレームは、売上や成果を最大化するための最も重要な「設計図」です。この記事では、ワイヤーフレームが必要不可欠である5つの理由を明確にし、具体的な作成手順を5ステップで解説します。関係者との認識のズレを防ぎ、ユーザー体験を高める情報設計の秘訣がわかります。手戻りをなくし、効率的にプロジェクトを進めたい方は必見です。
Webサイト制作において、いきなりデザインやコーディングから始めることはありません。成功するWebサイトには、必ずその土台となる緻密な設計図が存在します。その設計図こそが「ワイヤーフレーム」です。ワイヤーフレームとは、Webサイトのレイアウトやコンテンツの配置、機能などを定めた骨格のことで、いわばWebサイトの「設計図」や「骨組み」に相当する非常に重要なものです。家を建てる際に、まず設計図を描いて柱や部屋の配置を決めるのと同じように、Webサイトもワイヤーフレームで全体の構造を決定してから、次の工程に進みます。
この段階では、色やフォント、画像といった視覚的なデザイン要素は意図的に排除し、主に線や四角、テキストといったシンプルな要素で構成されます。目的は、デザインの装飾に惑わされることなく、「何を」「どこに」「どのように」配置するのかという情報設計と機能要件に集中することにあります。この設計図を基に関係者全員が共通認識を持つことで、後の工程で発生しがちな「思っていたものと違う」といった手戻りを防ぎ、プロジェクトを円滑に進行させることができます。
ワイヤーフレームは、Webサイトを構成する要素を視覚的に整理し、その骨格を明確にする役割を担います。具体的には、以下のような情報が示されます。
これらの要素を一枚の設計図に落とし込むことで、Webサイト全体の情報構造が可視化され、ユーザーにとって使いやすく、かつビジネス目標を達成するための最適な骨格を構築することが可能になります。
Webサイト制作の現場では、ワイヤーフレームの他にも「デザインカンプ」や「モックアップ」、「プロトタイプ」といった専門用語が使われます。これらは作成される目的やフェーズが異なり、混同されがちですが、明確な違いがあります。
それぞれの役割と特徴を下記の表で比較してみましょう。
| 種類 | 目的 | 表現内容 | 作成フェーズ |
|---|---|---|---|
| ワイヤーフレーム | 情報設計・骨格の合意形成 | レイアウト、要素の配置、機能要件。白黒・シンプルな線画が基本。 | 企画・設計段階(初期) |
| デザインカンプ | ビジュアルデザインの確認・決定 | 配色、フォント、画像、アイコンなど、実際の見た目の完成イメージ。静的な一枚絵。 | デザイン段階 |
| モックアップ | 完成イメージの共有 | デザインカンプとほぼ同義。より本物に近い質感や見た目を指すことが多い。静的な一枚絵。 | デザイン段階 |
| プロトタイプ | 動作や操作感(UX)の検証 | クリックや画面遷移など、実際に操作できる試作品。インタラクションを確認できる。 | デザイン・実装段階 |
このように、Webサイト制作は一般的に「ワイヤーフレーム」で骨格を固め、その次に「デザインカンプ」で見た目を決定し、必要に応じて「プロトタイプ」で動きを確認するという流れで進められます。ワイヤーフレームは、あくまでも後続のデザインや開発工程の土台となる「設計図」であると理解することが重要です。
Webサイト制作において、ワイヤーフレームは単なる「下書き」ではありません。プロジェクトの成否を左右し、最終的なビジネス成果に直結する極めて重要な設計図です。なぜワイヤーフレームがそれほどまでに重要なのでしょうか。ここでは、制作現場でワイヤーフレームが必要不可欠とされる5つの具体的な理由を、詳しく解説します。
Webサイト制作は、クライアント、ディレクター、デザイナー、エンジニアなど、多くの関係者が関わる共同作業です。それぞれの立場や経験によって、完成形に対するイメージは微妙に異なります。言葉だけのやり取りでは、このイメージの差が埋まらず、後工程で「思っていたものと違う」という致命的な問題を引き起こしかねません。
ワイヤーフレームは、Webサイトの構造や要素配置を視覚的に示す「共通言語」として機能します。どのページに、どのような情報を、どの順番で配置するのかを具体的に示すことで、プロジェクト関係者全員が同じ完成イメージを共有できます。これにより、初期段階で認識のズレを解消し、デザインや開発が進んだ後での大規模な修正、いわゆる「手戻り」を劇的に削減できます。
| ワイヤーフレームがない場合 | ワイヤーフレームがある場合 | |
|---|---|---|
| 認識 | 関係者それぞれが頭の中で別の完成形を想像している。 | 全員が同じ設計図を見ており、完成形のイメージが統一されている。 |
| 問題発覚のタイミング | デザインやコーディングが完了した段階で「イメージと違う」という問題が発覚しやすい。 | 設計段階で問題点を洗い出し、修正できる。 |
| 手戻りの影響 | スケジュールの大幅な遅延、追加コストの発生、関係者の疲弊を招く。 | 手戻りが最小限に抑えられ、スムーズな制作進行が可能になる。 |
手戻りは、時間とコストを浪費するだけでなく、プロジェクトチームの士気にも悪影響を及ぼします。ワイヤーフレームによる事前の合意形成は、プロジェクトを成功に導くための重要なリスク管理なのです。
優れたWebサイトには、必ず明確な目的が存在します。「商品を販売する」「問い合わせを獲得する」「ブランドイメージを向上させる」など、その目的を達成するための具体的なゴール(コンバージョン)が設定されています。ワイヤーフレームを作成するプロセスは、この目的とゴールを達成するための戦略を、ページの設計に落とし込む作業そのものです。
例えば、「資料請求」をゴールとするWebサイトであれば、「どのページに資料請求ボタンを配置するか」「ボタンを目立たせるために周囲にどのような情報を置くか」「入力フォームまでの導線は分かりやすいか」といった点を、ワイヤーフレーム上で徹底的に検討します。感覚的なデザインに入る前に、ビジネスゴール達成のための論理的な道筋を設計することで、Webサイト全体の説得力と成果が大きく向上します。
このプロセスを通じて、曖昧だった目的が具体的なレイアウトとして可視化され、プロジェクトチーム全体で「なぜこの要素が必要なのか」という根拠を共有できるようになります。
ユーザーがWebサイトを訪れた際に「情報が探しやすい」「使いやすい」「目的をスムーズに達成できた」と感じる体験をユーザー体験(UX)と呼びます。このUXの質は、Webサイトの成果を大きく左右します。そして、優れたUXの土台となるのが「情報設計(IA: Information Architecture)」です。
ワイヤーフレームは、まさにこの情報設計を具現化するためのツールです。
デザインの装飾を排除した骨格の状態で検討することで、純粋に情報の分かりやすさや使いやすさに集中できます。ユーザーがストレスなく目的の情報にたどり着ける構造を先に固めることで、結果的に離脱率の低下やコンバージョン率の向上に繋がる、質の高いUXを実現できるのです。
Webサイト制作では、「デザインは完成したのに、掲載する文章や写真がまだ揃っていない」といった事態が頻繁に起こります。ワイヤーフレームは、各ページにどのようなコンテンツ(テキスト、画像、動画、表など)が必要になるかを明確にする役割も担っています。
ワイヤーフレーム上に「ここに製品の特長を3つ記載」「ここに導入事例の顧客インタビューを掲載」といった形でコンテンツの配置場所と概要を示すことで、以下のメリットが生まれます。
ワイヤーフレームは、コンテンツ制作の具体的な指示書としても機能し、制作プロセス全体を円滑にします。
これまで述べてきた4つの理由は、すべてプロジェクト全体の効率化とコスト削減に直結します。一見、ワイヤーフレーム作成は工数が増えるように感じるかもしれませんが、長期的に見れば計り知れないメリットがあります。
ワイヤーフレームは、Webサイト制作における各工程の橋渡し役を担います。
「急がば回れ」という言葉の通り、最初にワイヤーフレームで土台をしっかりと固めることが、結果的に最も早く、最も低コストで質の高いWebサイトを完成させるための最短ルートなのです。プロジェクト全体のスケジュール遅延や予算超過といったリスクを回避し、円滑な進行を実現するために、ワイヤーフレームは不可欠なプロセスと言えるでしょう。
Webサイトのワイヤーフレーム作成は、単なる設計図作りではありません。ビジネスの成果、特に売上を最大化するための戦略的なプロセスです。ここでは、目的達成に直結する効果的なワイヤーフレームを、誰でも論理的に作成できる5つのステップを具体的に解説します。この手順を踏むことで、感覚的なレイアウトではなく、データと戦略に基づいたWebサイトの骨格を構築できます。
ワイヤーフレーム作成の最初のステップは、鉛筆を持つことでもツールを開くことでもありません。「なぜこのWebサイトを作るのか」「誰に届けたいのか」を徹底的に明確化することから始まります。この土台が曖昧なままでは、どれだけ美しいデザインのサイトを作っても成果には繋がりません。
まずは、Webサイトが達成すべき最終的なゴール(KGI)と、そこに至るまでの中間目標(KPI)を具体的に設定します。次に、そのサイトを利用するであろう理想のユーザー像である「ペルソナ」を詳細に定義します。ペルソナの悩みやニーズを深く理解することが、心に響くサイト設計の第一歩です。
| 項目 | 具体例(BtoB SaaS企業の場合) |
|---|---|
| Webサイトの目的(KGI) | Webサイト経由での月間契約件数10件 |
| 中間目標(KPI) | 月間お問い合わせ数50件 / 資料ダウンロード数100件 / CVR 2% |
| ターゲットペルソナ | 氏名:田中 みさき 年齢:35歳 職業:中小企業の人事部マネージャー 課題:採用業務の工数が多く、コア業務に集中できない ニーズ:低コストで導入でき、直感的に使える採用管理ツールを探している |
このように目的とターゲットを言語化・数値化することで、チーム内での方向性が統一され、以降のステップで判断に迷った際の明確な指針となります。
目的とターゲットが明確になったら、次はそのターゲットに目的を達成してもらうために必要な情報やコンテンツ、機能をすべてリストアップします。この段階では、情報の配置や優先順位は考えず、ブレインストーミングのように自由な発想で洗い出すことが重要です。
例えば、以下のような視点で必要な要素を網羅的に挙げていきましょう。
競合他社のWebサイトを参考にしたり、マインドマップツールを活用したりするのも効果的です。このリストが、Webサイトの全体像を把握し、コンテンツの過不足を確認するための基礎資料となります。
洗い出した膨大な情報の中から、ユーザーにとって、そしてビジネスにとって「何が最も重要か」を見極め、整理していくのが情報設計(IA: Information Architecture)のフェーズです。ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着けるような、直感的で分かりやすい構造を目指します。
まず、ステップ2でリストアップした各要素に優先順位をつけます。これは、ステップ1で定義したペルソナの視点に立ち、「ユーザーが最初に知りたい情報は何か」「コンバージョンに最も影響を与える要素は何か」を基準に判断します。
次に、関連性の高い情報をグループ化し、カテゴリーに分類します。このグルーピングが、Webサイトのグローバルナビゲーションやページ構成の土台となります。例えば、「サービスの強み」「料金プラン」「導入事例」を「サービスについて」という大きなカテゴリにまとめる、といった作業です。この結果をサイトストラクチャ(サイトマップ)としてツリー構造で可視化すると、サイト全体の階層構造が明確になり、関係者間の認識合わせもスムーズに進みます。
いよいよ、ここまでのステップで整理した情報を、具体的なページのレイアウトに落とし込んでいきます。これがワイヤーフレーム作成の核となる作業です。手書きのスケッチから始めても良いですし、FigmaやAdobe XDといった専門のデザインツール、あるいはPowerPointのようなプレゼンテーションソフトを使っても構いません。
このステップで最も重要なのは、デザイン要素(色、フォント、写真など)を一切排除し、情報の配置と構造の検討に集中することです。要素はシンプルな線や四角形(ボックス)、テキストのみで表現します。
各ページ(トップページ、下層ページなど)のワイヤーフレームを作成し、ページ間の遷移も考慮しながら、サイト全体の骨格を組み上げていきます。
ワイヤーフレームの初版が完成したら、必ずクライアントやディレクター、デザイナー、エンジニアといったプロジェクト関係者全員に共有し、フィードバックを求めます。この段階でのレビューと修正は、後の工程での大規模な手戻りを防ぎ、プロジェクト全体のコストと時間を大幅に削減するために不可欠です。
フィードバックを求める際は、以下のような観点で意見をもらうと効果的です。
| 確認の観点 | 確認内容の具体例 |
|---|---|
| 目的達成 | この構成で、Webサイトの目的(コンバージョン)は達成できそうか? |
| ユーザー体験(UX) | ターゲットユーザーは迷わずに目的の情報にたどり着けるか?分かりにくい点はないか? |
| 情報の網羅性 | 必要な情報に漏れはないか?逆に不要な情報はないか? |
| 機能の実現性 | この機能やレイアウトは、技術的に実装可能か?開発工数はどのくらいか? |
受け取ったフィードバックを元にワイヤーフレームを修正し、再度レビューを行います。このプロセスを繰り返し、関係者全員が「この設計で進めよう」と合意形成できるまでブラッシュアップします。この丁寧な合意形成こそが、プロジェクト成功の確率を飛躍的に高める鍵となるのです。
Webサイト制作の成功は、ワイヤーフレームの質にかかっていると言っても過言ではありません。しかし、良かれと思ってやったことが、かえってプロジェクトの進行を妨げてしまうケースも少なくありません。ここでは、ワイヤーフレーム作成で陥りがちな失敗を避け、関係者全員が納得する設計図を描くための3つの重要な秘訣を解説します。
ワイヤーフレーム作成において、最もよくある失敗が「最初から完璧なものを作ろうとすること」です。ワイヤーフレームはあくまでWebサイトの骨格を決めるための「たたき台」です。初期段階で細部にこだわりすぎると、本質的な議論ができなくなるだけでなく、修正に多大な時間と労力がかかってしまいます。
まずは、手書きのラフスケッチや簡単な図形で構成されたもので構いません。大切なのは、アイデアを素早く形にし、関係者間で議論を始めることです。完成度60%程度を目指し、「これは議論の出発点です」と前置きした上でフィードバックを求めましょう。不完全な状態だからこそ、チームメンバーから多様な意見や新しいアイデアが生まれやすくなり、結果としてより良い設計へと繋がります。
ワイヤーフレームの目的は、情報の構造や機能、レイアウトといった「骨格」に対する合意形成です。ここに色やフォント、具体的な画像などのデザイン要素を持ち込んでしまうと、議論の焦点がずれてしまいます。
例えば、「この赤色はブランドイメージと違う」「この写真より、もっと笑顔の人物写真が良い」といった意見が出てしまうと、本来議論すべき「情報の優先順位」や「ユーザーの動線」といった本質的なテーマから話が逸れてしまいます。これは、後のデザイン工程で行うべき議論です。
ワイヤーフレーム作成時は、意図的にデザイン要素を排除し、構造の議論に集中できる環境を作ることが成功の秘訣です。具体的には、以下の表のように要素を使い分けましょう。
| 要素の種類 | ワイヤーフレームでの表現方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 色彩 | 白黒(グレースケール)で作成する | 色による先入観やイメージの偏りをなくし、構造やレイアウトの視認性を高めます。 |
| 画像・イラスト | グレーのボックスに「×」を入れたプレースホルダーで示す | 「ここに画像が入る」という配置とサイズ感のみを伝えます。具体的な写真選定は後の工程で行います。 |
| テキスト | 実際の文章ではなく、ダミーテキスト(Lorem ipsumなど)や線で表現する | 見出しやボタンなど、最低限必要なテキストのみを仮で入れ、本文は量感が分かれば十分です。 |
| フォント | OSの標準フォントなど、シンプルなものを使用する | 特定のフォントが与える印象を排除し、テキストの可読性や情報階層の確認に集中させます。 |
このようにルールを徹底することで、関係者全員が「これはデザインではなく、設計図である」という共通認識を持つことができ、建設的な議論を促進できます。
現代において、Webサイトへのアクセスの大半はスマートフォン経からです。PCサイトのワイヤーフレームだけを作成し、「あとはレスポンシブ対応でよしなに」と考えてしまうのは非常に危険です。PCとスマートフォンでは画面サイズが根本的に異なり、最適な情報の見せ方や操作性も全く異なります。
Googleが検索順位を決定する際にモバイル版のWebサイトを主に見る「モバイルファーストインデックス」が完全に普及した現在、スマートフォンでの最適なユーザー体験(UX)を設計することは、SEO対策の観点からも必須と言えます。
ワイヤーフレーム作成の段階で、以下の点を必ず検討してください。
PCでは横一列に並べられる要素も、スマートフォンでは縦に積むことになります。その際に、どの順番で表示させるかがユーザーの理解度や満足度に大きく影響します。この情報設計こそが、ワイヤーフレームで詰めるべき最も重要なポイントの一つなのです。
本記事では、Webサイトの売上を最大化するためのワイヤーフレームの重要性と作り方を解説しました。ワイヤーフレームは、関係者間の認識のズレを防ぎ手戻りを削減するだけでなく、ユーザー体験を考慮した情報設計を可能にする、Webサイト制作に不可欠な設計図です。明確な目的のもと、本記事で紹介したステップに沿って骨格を固めることが、サイトの成功、ひいては売上向上への第一歩となります。ぜひ実践してみてください。
Atsushi
集客についておなやみの方、
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